主任コンサルタント 柏原 吉晴
<ISO22000:2018年版解説(4)>
テーマ:経営に貢献するISO22000:2018
今回は、4.3「食品安全マネジメントシステムの適用範囲の決定」を解説します。
FSMSの適用範囲を決める上で、考慮しなければならないことが書かれています。要求事項は次の通りです。
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組織は、FSMSの適用範囲を定めるために、その境界及び適用可能性を決定しなければならない。適用範囲は、FSMSが対象とする製品及びサービス、プロセス及び生産工場を規定しなければならない。
適用範囲は、最終製品の食品安全に影響を与え得る活動、プロセス、製品又はサービスを含まなければならない。
この適用範囲を決定するとき、組織は、次の事項を考慮しなければならない:
a) 4.1に規定する外部及び内部の課題;
b) 4,2に規定する要求事項。
適用範囲は、文書化した情報として利用可能な状態にし、維持しなければならない。
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求められていることは、次の通りです。
①適用範囲として、FSMSが対象とする製品及びサービス、プロセス
及び生産工場を規定すること。
②このマネジメントシステムの適用範囲を決める時に、
4.1の内外の課題と、4.2の利害関係者の要求事項を考慮して決めること。
③適用範囲を文書化すること。
4.1で挙げた組織の課題に取り組む上で、重要な部署(プロセス)が仮に適用範囲に入っていなければ、検討の余地があります。
また、組織にとって重要な顧客がいて、その顧客が組織に求める事があります(4.2)。例えば、売上の多くを占める重要な顧客がいて、そして彼らのPB商品を製造している時、当然そのPB製品が顧客の意図した通りの品質や安全性を維持していることが必要です。
仮に、そのPB製品の製造プロセスが適用範囲に入っていなければ、適用範囲の見直しが必要だと思います。
今回の改訂は、ISOと経営の統合を意識しています。
何かしらの事情で、FSMSの適用範囲に制限をかけている組織は、この機会に、適用範囲をしっかり精査し、意義のあるISOとしましょう。