<ISO22000:2018年版解説(20)>
テーマ:経営に貢献するISO22000:2018
TBCSグループの食品会社向け専門コンサルティング組織である株式会社フィールズコンサルティングの柏原吉晴が担当します。
今回は、「8.1 運用の計画及び管理」について解説します。
8.1は、マネジメントシステムの共通要素(HLS)に該当します。
特にこの要求事項は、序文にも書かれているプロセスアプローチへの理解が重要となります。要求事項は次の通りです。
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8.1 運用の計画及び管理
組織は、次に示す事項の実施によって、安全な製品の実現に対する要求事項を満たすため、及び6.1で決定した取組みを実施するために必要なプロセスを計画し、実施し、管理し、維持し、かつ、更新しなければならない:
a)プロセスに関する基準の設定;
b)その基準に従った、プロセスの管理の実施;
c)プロセスが計画どおりに実施されたことを示すための確信をもつために必要な程度の、文書化した情報の保存。
組織は、計画した変更を管理し、意図しない変更によって生じた結果をレビューし、必要に応じて、あらゆる有害な影響を軽減する処置をとらなければならない。
組織は外部委託したプロセスが管理されていることを確実にしなければならない(7.1.6 参照)。
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この要求事項は、この後の8章全体を包括する要求事項です。
要求事項を4つに分解します。
①安全な製品実現に必要なプロセスの計画、実施、管理、維持、更新。
これは、8.2以降のPRPやHACCP文書に該当します。
プロセスの基準設定とは、例えばCCPであれば許容限界です。
その基準に沿った管理の実施は、日々のモニタリングや修正・是正処置。
実施結果の記録類の保存は、モニタリング記録や修正・是正記録です。
②リスク及び機会の取組計画に必要なプロセスの計画、実施、管理、維持、更新。
これは、6.1で取組み計画を策定しているはずなので、その計画に対して、プロセス基準の設定、プロセス管理、管理記録を求めます。
③上記①および②の計画に対して、変更管理。
6.3同様に、変更に対するリスクマネジメントをしっかりやりましょう、という要求事項です。
④外部委託プロセスの管理。
7.1.6と重なります。7.1.6で決めたことに対して、運用管理しましょう。
上記の通り、
③、④は他の要求事項と重なるので、割愛し、
①に関しては、
「8.5.4 ハザード管理プラン」、
「8.5.4.5 ハザード管理プランの実施」、
「8.8.1 検証」、
「8.6 PRPs及びハザード管理プランを規定する情報の更新」で、しっかりPDCAが回るので、後の要求事項をしっかりやるだけです。
最後に残った②に関しては、2018年版改訂の目玉である「リスク及び機会への取組み」なので、どの組織も要求事項をよく理解した上で、運用管理を実施しましょう。
次回も、「8.1 運用の計画及び管理」の解説の続きです。
プロセスアプローチについて解説します。