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コンサルタント コラム

主任コンサルタント 柏原 吉晴

<ISO22000:2018年版解説(23)>
テーマ:経営に貢献するISO22000:2018

TBCSグループの食品会社向け専門コンサルティング組織である株式会社フィールズコンサルティングの柏原吉晴が担当します。

今回は、「8.3 トレーサビリティシステム」について解説します。

トレーサビリティシステムは、食品安全の取組みにおいて大変重要な仕組みです。
何か問題が起きた時に、特に製品回収になった場合に、該当製品を少しでも早く特定し、市場から回収する必要があります。
その際に、トレーサビリティシステムが確立出来ていない場合は、過去に遡って保証問題が発生しかねません。
組織のリスク回避、低減のために、トレーサビリティシステムの構築は必須となります。

要求事項は以下の通りです。

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8.3 トレーサビリティシステム

トレーサビリティシステムは、供給者から納入される材料
及び最終製品の最初の流通経路を一意的に特定できなければならない。
トレーサビリティシステムの確立及び実施の場合、少なくとも、次の事項を考慮しなければならない。

a) 最終製品に対する受け入れ材料、原料及び中間製品のロットの関係;
b) 材料/製品の再加工;
c) 最終製品の流通;

組織は、法令、規制及び顧客要求事項が特定されることを確実にしなければならない。
トレーサビリティシステムの証拠としての文書化した情報は、少なくとも、最終製品の最短シェルフライフを含む定められた期間、保持しなければならない。
組織は、トレーサビリティシステムの有効性を検証、試験しなければならない。

注記 該当する場合、システムの検証は、有効性の証拠として最終製品量と材料量との一致を含むことが期待される。
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要求事項は、供給者から納入される材料から、最終製品の最初の流通経路までが特定できることを求めています。
最終消費者までを特定することは求められていません。

製造工程においては、再加工・再利用の工程がある場合は、トレースが可能か、しっかり検証が必要です。

また、法令規制としては「牛肉トレーサビリティ法」「米トレーサビリティ法」がありどちらも法規制に従った記録帳票の管理、消費者への伝達が求められます。

冷凍食品など賞味期限の長い製品は、このトレーサビリティ関連記録をそれ以上保持しなければならないので、注意が必要です。

2005年版にはなかった要求事項として、トレーサビリティの検証や試験を2018年版は求めています。
多くの場合は、製品回収訓練の際に、トレース試験を合わせて実施していると思います。
トレースバック、トレースフォワードどちらも試験すると良いでしょう。
また、注記にある最終製品量と材料量との一致を証拠として得る行為は、
フードディフェンス(意図的なサボタージュなど)や、食品偽装緩和(意図的な添加又は減量など)の検証手段にもなり得ます。

製品回収、フードディフェンスや食品偽装緩和など、組織のリスク低減のために取り組むことは当然のこととして、同時に、トレーサビリティシステムのための管理コストが、
リスク低減に見合った内容になっているか、組織で検証すると良いでしょう。

次回は、「8.4 緊急事態への準備及び対応」を解説します。

柏原 吉晴(かしわばら よしはる)

Yoshiharu Kashiwabara

TBCSグループ、株式会社フィールズコンサルティング 取締役
(ISO / FSSC / 経営支援のコンサルティング実績 300社以上)
東京農工大学大学院、ビジネス・ブレークスルー大学大学院修了(農学修士、MBA)
QMS及びFSMS審査員研修修了

大学院修了後、ホテル・旅館向けの経営及び衛生コンサルティングを行う組織で、 全国40社以上のホテル・旅館の人件費削減、HACCP厨房設計、システム運営指導、ISO認証支援を行い、また、全国50社以上の食品衛生指導、浴場衛生指導を定期的に行ってきた。
2008年からは、株式会社TBCソリューションズで、QMS、EMS、及びFSMSなどの認証取得や運営のコンサルティング、内部監査員養成研修講師、及び経営コンサルティングを担当した。
2018年10月からは、TBCソリューションズから分社化し、食品専門のコンサルティングファームとして、株式会社フィールズコンサルティングを設立、取締役に就任し、 FSMSを中心に、食品会社向けの総合的なコンサルティングを提供している。また、全国各地での講演や、執筆活動も行っている。

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