主任コンサルタント 柏原 吉晴
<ISO22000:2018年版解説(30)>
テーマ:経営に貢献するISO22000:2018
TBCSグループの食品関連向け専門コンサルティング組織である株式会社フィールズコンサルティングの柏原吉晴が担当します。
当社は、JFS規格の監査会社もしています。
前回から「8.5.2 ハザード分析」に入っています。
本日はその中の「8.5.2.3 ハザード評価」について解説します。
この要求事項は、HACCP7原則の1・2原則目に該当し、食品安全上、大変重要な要素であり、ここが十分に実施されていないとこの後の仕組みが、あまり意味を持たなくなります。
自社のハザード分析結果を、是非見直す機会として下さい。
要求事項は以下の通りです。
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8.5.2 ハザード分析
(中略)
8.5.2.3 ハザード評価
組織は、特定されたそれぞれの食品安全ハザードについて、その予防又は許容水準までの低減が必須であるかを決定するために、ハザード評価を実施しなければならない。
組織は、次の事項に関して、各食品安全ハザードを評価しなければならない:
a) 管理手段の適用の前に最終製品中で発生する起こりやすさ;
b) 意図した用途(8.5.1.4参照)との関連で起きる健康への悪影響の重大さ。
組織は、あらゆる重要な食品安全ハザードを特定しなければならない。
使用した評価方法を記述し、また食品安全ハザード評価の結果を文書化した情報として維持しなければならない。
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ハザード評価は「健康への悪影響の重大さ」と「起こりやすさ」で評価します。
ハザードの起こり易さは、「管理手段の適用の前」なので、何も管理していない前提で、どの程度、食品安全ハザードが発生し易いかを評価しなければなりません。
ハザード評価の仕方は、一般的なリスク評価と同じです。
リスクの持つ「重篤性」と「発生頻度」で評価する手法です。
食品安全ハザードがどのくらい混入しやすいか、残存しやすいか、生物的ハザードの細菌であれば、どの程度増殖するのかを、「起こりやすさ」として評価します。
同時に、それら食品安全ハザードの持つ重大性、ここでは健康被害の程度を評価します。一番重大な健康被害は、死亡事例があるかどうかです。
障害が残る可能性や、そこまでではなくても、入院や治療が必要な場合があります。
この発生度と重大性を、組織に見合った指標で評価し、結果、重要と見なされた食品安全ハザードは何なのかを特定し、文書化しましょう。
「重要な食品安全ハザード」(3.40 significant food safety hazard)が、定義されています。定義は、ハザード評価を通じて特定され、管理手段によって管理される必要がある食品安全ハザードです。
よって、管理手段という用語は、重要な食品安全ハザードに対して用いられます。
この重要な食品安全ハザードは、この後の「8.5.2.4」で分類され、OPRP(オペレーション前提条件プログラム)か、CCP(重要管理点)になります。
重要か否かを決めるのは、組織のリスクに対する厳しさに左右されます。
より厳密に管理を望む組織は、評価指標を厳しくすれば、重要なハザードになり、緩くすれば、重要ではない、PRPで管理できるハザードになります。
組織の経営資源のバランスを考慮し、品質・安全管理コストと、この厳しさを上手に連動させて、組織の売上増加と、管理コストを比例させることが重要と考えます。
次回は、「8.5.2.4 管理手段の選択及びカテゴリー分け」を解説します。