主任コンサルタント 柏原 吉晴
<ISO22000:2018年版解説(32)>
テーマ:経営に貢献するISO22000:2018
TBCSグループの食品関連向け専門コンサルティング組織である株式会社フィールズコンサルティングの柏原吉晴が担当します。
当社は、JFS規格の監査会社もしています。
本日は「8.5.3 管理手段及び管理手段の組合せの妥当性確認」について解説します。
この要求事項は、HACCP7原則の原則2「重要管理点(CCP)の決定」に該当し、これまでの構築内容に基づいた「テスト生産又は試作」と考えて良いでしょう。
要求事項は以下の通りです。
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食品安全チームは、選択した管理手順が重要な食品安全ハザードの意図した管理を達成することができるとの妥当性確認を行わなければならない。
この妥当性確認は、ハザード管理プラン(8.5.4参照)に組み入れる管理手段及び管理手段の組合せの実施に先立って、また管理手段のあらゆる変更の後に行わなければならない(7.4.2、7.4.3、10.2及び10.3参照)。
妥当性確認の結果、管理手段が意図した管理を達成できないことが明らかとなった場合、食品安全チームは、管理手段及び/又は管理手段の組合せを修正し、再評価しなければならない。
食品安全チームは、妥当性確認方法及び意図した管理を達成できる管理手段の能力を示す証拠を、文書化した情報として維持しなければならない。
注記 修正には、管理手段の変更(すなわち、工程のパラメータ、厳密さ及び/又は管理手段の組合せ)及び/又は原料の生産技術、最終製品特性、流通方法及び最終製品の意図した用途の変更を含むことができる。
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この後の要求事項「8.5.4 ハザード管理プラン」に要求されている、管理手段のCL(許容限界)やAC(処置基準)、モニタリング手順などは決めておきましょう。そうでなければ、妥当性確認もできません。
よって、「8.5.4 ハザード管理プラン」と同時進行と考えてよいでしょう。
設定されたCL(許容限界)やAC(処置基準)のモニタリングができて、CL(許容限界)やAC(処置基準)の逸脱時の修正処置も対応できて、更に、検証した際に、意図した通りのハザード制御ができれば、テスト生産結果は、合格となります。
不合格=意図した通りの結果が得られなければ、管理手段やその組合せ、及び途中まで構築したハザード管理プランを見直さなければなりません。
なお、これらの結果は、妥当性確認の証拠として文書に残します。
ここで要求されているのは、食品安全の意図した管理です。
当然、組織は食品安全だけでなく、品質(製品、プロセス)も重視します。
意図した通りの生産量、原材料費、人件費などのコスト、美味しさ、見た目などが不十分(=不合格)であれば、同じように管理手段やその組合せ、つまり製造プロセスについて見直しをするでしょう。
ISO9001:2015であれば、「設計・開発の妥当性確認」に該当します。
FSSC22000 ver5.1では、追加要求事項「2.5.13 製品開発」がありますが、安全で合法的な製品が生産されることを確実にするために、
製品の設計・開発手順を、確立、実施、維持することを求めています。(※注)
ここは、設計・開発手順に、品質面を考慮に入れた手順とした方が、経営に貢献できる仕組みになると考えます。
※注 FSSC22000のホームページに、追加要求事項の日本語訳がありますが、その日本語訳には、上記「安全で合法的な…」の文言はありません。
原文にある「safe and legal…」からの引用です。
追加要求事項を正確に理解したい方は、FSSCの日本語訳を鵜呑みにしないことが肝要です。
次回は「8.5.4 ハザード管理プラン(HACCP/OPRPプラン)」を解説します。