主任コンサルタント 柏原 吉晴
前回は「7.1資源」の「7.1.4プロセスの運用に関する環境」までを解説したので、
今回は、「7.1.5 監視及び測定のための資源」について解説します。
残りの「7.1.6組織の知識」については次回解説します。
「7.1.5 監視及び測定のための資源」は、旧版(2008年版)の「7.6監視機器及び
測定機器の管理」に該当します。
変更点は「機器」という縛りを無くしたことです。監視や測定に使用する「機器」
や「帳票」や「検査員(の目)」などが該当します。
要求事項は以下の通りです。
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7.1.5 監視及び測定のための資源
7.1.5.1 一般
要求事項に対する製品及びサービスの適合を検証するために監視又は測定を用いる
場合、組織は、結果が妥当で信頼できるものであることを確実するために必要な資
源を明確にし、提供しなければならない。
組織は、用意した資源が次の事項を満たすことを確実にしなければならない。
a)実施する特定の種類の監視及び測定活動に対して適切である。
b)その目的に継続して合致することを確実にするために維持されている。
組織は、監視及び測定のための資源が目的と合致している証拠として、適切な文書化
した情報を保持しなければならない。
7.1.5.2 測定のトレーサビリティ
測定のトレーサビリティが要求事項となっている場合、又は組織がそれを測定結果
の妥当性に信頼を与えるための不可欠な要素とみなす場合には、測定機器は、次の
事項を満たさなければならない。
a)定められた間隔で又は使用前に、国際計量標準又は国家計量標準に対してトレー
サブルである計量標準に照らして校正若しくは検証、又はそれらの両方を行う。
そのような標準が存在しない場合には、校正又は検証に用いたよりどころを、文
書化した情報として保持する。
b)それらの状態を明確にするために識別を行う。
c)校正の状態及びそれ以降の測定結果が無効になってしまうような調整、損傷又は
劣化から保護する。
測定機器が意図した目的に適していないことが判明した場合、組織は、それまでに
測定した結果の妥当性を損なうものであるか否かを明確にし、必要に応じて、適切
な処置をとらなければならない。
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まず、「7.1.5.2測定のトレーサビリティ」については、これまで通りの測定機器の
校正管理で良いです。
次に「7.1.5.1一般」は、監視中に使用する「帳票」や「検査員(の目)」などが該当します。
「帳票」の検証は、帳票中に適切な監視・測定項目が網羅されていて、手順通り帳票
を使うことで、監視及び測定の目的に適った結果が得られれば問題ありません。文書
・記録管理と同じです。検査員についても、力量評価によって、検査や試験活動が、
監視及び測定対象を適切に評価出来ていれば問題ありません。
FSSC22000やISO22000では、OPRP工程やCCP工程で、許容限界(管理基準)の逸脱が
無いかモニタリングが求められます。モニタリングには、目視検査や、X線検査機、
金属探知機など、ヒトと機器、それらを記録する様々な帳票があります。
これらが監視及び測定に適さない場合は、監視及び測定の資源としては不十分とな
ります。7.1.5で管理せずとも、力量管理や文書管理で、本来ならば適応できますが、
食品安全を考える上で、モニタリングの精度の維持は必須と言えます。
機器の校正だけではなく、モニタリング(監視及び測定)の方法も検証(クロスチェック)
する仕組みを構築すると良いでしょう。
構築されていない組織は、是非、構築してください。また、外部校正又は外部検証を依頼する
場合は、その外部の検査機関が、ISO17025を認証しているか、食品衛生法上の登録検査機関
であることが望まれます。