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コンサルタント コラム

主任コンサルタント 柏原 吉晴

 

今回は、ISO9001「8.5.5引渡し後の活動」について解説します。

FSMSでは、この要求事項と同等のものはありません。ただし、フローダイアグラム
には反映されにくいですが、前提条件プログラムや外部コミュニケーションにおいて、
同様の管理はできると考えられます。

ISO9001の8.5.5の要求事項は、次の通りです。

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組織は、製品及びサービスに関連する引渡し後の活動に関する要求事項を満たさなければならない。

要求される引渡し後の活動の程度を決定するに当たって、組織は、次の事項を考慮しなければならない。

a)法令・規制要求事項

b)製品及びサービスに関連して起こり得る望ましくない結果

c)製品及びサービスの性質、用途及び意図した耐用期間

d)顧客要求事項

e)顧客からのフィードバック

注記 引渡し後の活動には、補償条項(warranty provisions)、

メンテナンスサービスのような契約義務、及びリサイクル又は最終廃棄のような付帯サービスの下での
活動が含まれ得る。

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自社製品が食品であれば、

①食品衛生法や食品表示法、
②製品に今後起こり得るリスク(生物、化学、物理的変化)、
③製品の腐敗しやすさや使用用途や調理方法及び消費期限・賞味期限、
④予め顧客と定めた契約内容、
⑤顧客の要請など、
これらを考慮した上で、製品提供後の活動内容を決定します。

例えば、製品出荷後に、外部倉庫でのハザードの発生や混入、輸送中の破損、消費者
が喫食する時の誤使用による怪我、小売店舗での不衛生な取り扱いによる食中毒発生、
毒物や針などの悪戯を含む混入の恐れ、及び流通過程における食品偽装(横流し、置換、
偽造)などのリスクが想定されます。

また、期限切れによる返品、顧客クレーム、リサイクル法に則った資源回収、及び自社
製品に対する市場・SNSの評価など、想定しうるリスク又は機会に対し、食品会社として、
適切なサプライヤー管理(二者監査の実施など)や、顧客や小売店舗への要請や指導、及び
消費者へ各種メディアを通じた正確な情報提供を行うなどの管理手段によって、リスクを最小
に抑えることが出来ます。

同時に、適切な対応を製品提供後に継続的に実施することで、顧客や市場からの評価を高める
ことにもつながるため、リスクを機会に代えるようなマーケティングが望まれます。

健康を増進する食べ方やレシピの提供、環境に配慮した活動への積極的な参画、その他社会的
責任に対応した活動など、ただ売るだけではなく、新たな付加価値を付けることができる
「引渡し後の活動」を模索してみてはいかがでしょうか。

柏原 吉晴(かしわばら よしはる)

Yoshiharu Kashiwabara

TBCSグループ、株式会社フィールズコンサルティング 取締役
(ISO / FSSC / 経営支援のコンサルティング実績 300社以上)
東京農工大学大学院、ビジネス・ブレークスルー大学大学院修了(農学修士、MBA)
QMS及びFSMS審査員研修修了

大学院修了後、ホテル・旅館向けの経営及び衛生コンサルティングを行う組織で、 全国40社以上のホテル・旅館の人件費削減、HACCP厨房設計、システム運営指導、ISO認証支援を行い、また、全国50社以上の食品衛生指導、浴場衛生指導を定期的に行ってきた。
2008年からは、株式会社TBCソリューションズで、QMS、EMS、及びFSMSなどの認証取得や運営のコンサルティング、内部監査員養成研修講師、及び経営コンサルティングを担当した。
2018年10月からは、TBCソリューションズから分社化し、食品専門のコンサルティングファームとして、株式会社フィールズコンサルティングを設立、取締役に就任し、 FSMSを中心に、食品会社向けの総合的なコンサルティングを提供している。また、全国各地での講演や、執筆活動も行っている。

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