主任コンサルタント 柏原 吉晴
前回まで2回にわたり、HACCP義務化とJFS規格について解説しましたが、
いつもの「ISO9001:2015を活用したFSMS」に戻ります。
今回は、ISO9001「8.5.6 変更の管理」について解説します。
FSMSでは、この要求事項と同等のものは「5.6.2 内部コミュニケーション」
でしょう。
コミュニケーションという要求事項は、ISO9001にもありますが、
ISO22000が求める内部コミュニケーションは、変更管理そのものです。
ISO9001の8.5.6の要求事項は、次の通りです。
―――――――――――――――――――――――――――
組織は、製造又はサービス提供に関する変更を、
要求事項への継続的な適合を確実にするために必要な程度まで、
レビューし、管理しなければならない。
組織は、変更のレビューの結果、変更を正式に許可した人
(又は人々)及びレビューから生じた必要な処置を記載した、
文書化した情報を保持しなければならない。
―――――――――――――――――――――――――――
この要求事項は以下を求めています。
①変更についてレビューし、管理する。
②変更のレビューの結果の記録。
③変更を正式に許可した人又は人々の記録(署名)。
④レビューから生じた必要な処置の記録。
一方、ISO22000の内部コミュニケーションは、
①a)~m)の変更について、食品安全チームに伝達。
②食品安全チームは、この変更情報を受けて、FSMSを更新。
③トップマネジメントは、関連情報をマネジメントレビューにインプット。
お互いのいいところ取りをしましょう。
製品及びサービスの品質や安全性などに影響を及ぼす可能性のある
運用変更、又は、予定していない変更・変化に気付いた場合は、
①関係者間で情報を共有すること。それには責任者(部門長)を含めること。
②部門長会議など通じて責任者は、変更について品質や安全面からレビューすること。
③レビューの結果、必要な処置があれば実施すること。例えば、ハザード分析の
やり直しが必要であれば実施すること。
④変更のレビューの結果、変更の許可者、必要な処置の内容を記録すること。
⑤重要な運用変更については、トップマネジメントに報告すること。