主任コンサルタント 柏原 吉晴
以前に、FSMSもプロセスアプローチを導入しましょうと、本コラムで書きました。
これは、ISO9001の7章を意識して、受注プロセス、設計開発プロセス、購買プロセス
なども安全性に大きく寄与することから、プロセスフローダイアグラムを作成して、
ハザード分析し、ハザード管理(=プロセスアプローチ)すると、様々な課題が明確
になり、より安全に配慮したシステム構築ができるというご提案です。
ISO9001は現行の2008年版から本年9月に2015年版が発行される見通しです。
先日、FDIS(最終国際規格原案)が発行されました。ISO9001を持っている組織は、
来年以降2015年版への対応を始めることと思いますが、これを機に、ISO又はFSSC22000
に取り組むか、または現状のISO9001の仕組みに、HACCPシステムをしっかり導入して
いただきたいと思います。
今回のISO9001の改訂はちょうど良いきっかけとなることでしょう。
ISO/FDIS 9001:2015、4.4.1では、
―――――――――――――――――――――――――――――
組織は、この国際規格の要求事項に従って、必要なプロセス及びそれらの相互作用
を含む、品質マネジメントシステムを確立し、実施し、維持し、かつ、継続的に改善
しなければならない。
組織は、品質マネジメントシステムに必要なプロセス及びそれらの組織全体にわたる
適用を決定しなければならない。また、次の事項を明確にしなければならない。
a)これらのプロセスに必要なインプット、及びこれらのプロセスから期待されるアウトプットを明確にする。
b)これらのプロセスの順序及び相互関係を明確にする。
c)これらのプロセスの効果的な運用及び管理を確実にするために必要な判断基準及び方法(監視、測定及び
関連するパフォーマンス指標を含む。)を決定し、適用する。
d)これらのプロセスに必要な資源を明確にし、及びそれが利用できることを確実にする。
e)これらのプロセスに関する責任及び権限を割り当てる。
f)6.1の要求事項に従って決定したとおりにリスク及び機会に取り組む。
g)これらのプロセスを評価し、これらのプロセスの意図した結果の達成を確実にするために必要な変更を
実施する。
h)これらのプロセス及び品質マネジメントシステムを改善する。
と書かれています。
これを読むと、先ほど述べたプロセスフローダイアグラムを想像するのは私だけでしょうか。
FSMSのフローダイアグラムの視野・解釈を広げて、各プロセスに対して、プロセスアプローチ
を意識すると、このようなプロセスフローダイアグラムが欲しくなります。FSMSにおける通常
のフローダイアグラムよりも、範囲が広く、且つ、プロセスに必要な資源を明確にするとか、
プロセスに関する責任及び権限を定めるなどは、FSMSには無い要素です。
長くなりましたので、続きは次号でお話しします。
次回は、ISO/FDIS 9001:2015、「4.1組織及びその状況の理解」です。