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コンサルタント コラム

主任コンサルタント 柏原 吉晴

 

今回は、「8.2.1 顧客とのコミュニケーション」について解説します。

旧版(ISO9001:2008年版)の7.2.3に該当する要求事項で、基本的には規格の意図する
ものは変わりません。FSMS(ISO22000)では5.6.1外部コミュニケーションb)項に該当します。

ISO9001:2015にあってFSMS(5.6.1外部コミュニケーションb)項)にない要素として、

d)顧客の所有物の取扱い又は管理

e)関連する場合には、不測の事態への対応に関する特定の要求事項の確立

があります。

まずd)項ですが、FSMS規格では、顧客所有物の管理については、どこにも規定され
ていません。顧客所有物には、材料、部品、道具、設備、施設、知的財産、個人情
報などが含まれます。

組織は、顧客所有物について、それが組織の管理下にある間、又は組織がそれを使用
している間は、注意を払わなければなりません。注意を払うとは、顧客所有物の識別
(どこの誰の所有物か)、検証(預かっている所有物は、紛失してないか、または損
傷していないか確認する)、及び損傷しないように保護・防護を実施しなければなり
ません。

組織は、顧客所有物を紛失若しくは損傷した場合、又はその他これらが使用に適さない
と判明した場合には、組織は、その旨を顧客に報告し、発生した事柄について、一連の
顛末を記録として残すことが、今後、同じような過ちを起こさないためにも求められます。

次にe)項ですが、FSMS規格では、不測事態への対応に関しては、「緊急事態への備え
及び対応」という規定がありますが、ISO9001:2015の視点では、より「顧客」を意識
しなければなりません。不測事態または緊急事態が生じた時に、顧客に与える影響を
考慮し、あらかじめ想定しておかなければならない事態を双方で規定し合意するとい
うものです。

食品会社であれば、製品回収に至る事態や配送遅延、欠品などが当てはまるかもしれません。
あくまでも頭に「関連する場合には」とありますので、無理に想定するものではありませんが、
不測事態が生じた時に、自社の損害が甚大にならないようにするためにも、リスクベース思考
で、必要な事態を想定すると良いでしょう。

柏原 吉晴(かしわばら よしはる)

Yoshiharu Kashiwabara

TBCSグループ、株式会社フィールズコンサルティング 取締役
(ISO / FSSC / 経営支援のコンサルティング実績 300社以上)
東京農工大学大学院、ビジネス・ブレークスルー大学大学院修了(農学修士、MBA)
QMS及びFSMS審査員研修修了

大学院修了後、ホテル・旅館向けの経営及び衛生コンサルティングを行う組織で、 全国40社以上のホテル・旅館の人件費削減、HACCP厨房設計、システム運営指導、ISO認証支援を行い、また、全国50社以上の食品衛生指導、浴場衛生指導を定期的に行ってきた。
2008年からは、株式会社TBCソリューションズで、QMS、EMS、及びFSMSなどの認証取得や運営のコンサルティング、内部監査員養成研修講師、及び経営コンサルティングを担当した。
2018年10月からは、TBCソリューションズから分社化し、食品専門のコンサルティングファームとして、株式会社フィールズコンサルティングを設立、取締役に就任し、 FSMSを中心に、食品会社向けの総合的なコンサルティングを提供している。また、全国各地での講演や、執筆活動も行っている。

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