主任コンサルタント 柏原 吉晴
今回は、「8.2.2 製品及びサービスに関する要求事項の明確化」、
「8.2.3 製品及びサービスに関する要求事項のレビュー」について解説します。
旧版(ISO9001:2008年版)の7.2.1、及び7.2.2に該当する要求事項です。
基本的に規格の意図するものは変わりません。
FSMS(ISO22000)では「7.3.3.2 最終製品の特性、7.3.4 意図した用途」、及び
「5.6.1外部コミュニケーション」に該当します。
まず、「8.2.2 製品及びサービスに関する要求事項の明確化」については、ISO9001
よりISO22000の方がより詳細な要求事項があるので、特にISO9001を活用することは
ありません。
8.2.2で要求される製品及びサービスに関する要求事項は、「7.3.3.2 最終製品の特性」
で法令規制要求事項を含め明確に文書化されます。更に、「7.3.4 意図した用途」で製品
及びサービスの提供対象となる利用者や消費者も明確になります。
次に、「8.2.3で要求される製品及びサービスに関する要求事項のレビュー」については、
ISO22000規格には明確に規定されていませんが、近い要求事項として5.6.1の顧客や消費者
との契約又は注文処理に係る外部コミュニケーションの一環と言えます。ISO22000の5.6.1
はざっくりしたことしか規定していないので、食品会社は、ISO9001を活用する余地があります。
ISO9001の8.2.3は、顧客との契約や、注文の受諾をする前に、次のことをよく確認しなさい
と言っています。
a)顧客が求める要求事項
b)顧客の意図した用途に適した要求事項
c)組織が規定した要求事項
d)法令規制要求事項
e)以前の契約や注文とは違う内容の要求事項
更に、インターネット販売時の注意事項と、レビューの記録を求めています。
これらの要求事項はISO22000にはありません。
食品会社は、顧客の注文内容や使用用途を確認した上で注文を受けないと、後で顧客
とトラブルになりかねません。組織が定める要求事項、例えば、「加熱してから使用
する」とか、「冷蔵保管する」とか、「消費期限は3日後」とか、組織が定めたことを
顧客が守らなければ、組織が意図しない危害を生じさせてしまう危険性があります。
当たり前の話ですが、双方の要求事項をよく理解することが求められます。
ISO22000では全く触れられていないインターネット販売にも、ISO9001は言及しています。
昨今、EC(電子商取引)が当たり前になる中、食品は、イメージ画像や構成内容が、顧客や
消費者に誤解を与えてはいけません。誠実で詳細な表示が求められます。
食品安全上も、アレルゲン表示などは店頭で手に取るのと同じように確認できなければなら
ないでしょう。インターネット販売する組織にとって、とても重要な要求事項ですので、
ISO9001の8.2.3の要求事項を上手にFSMSに取り入れていただきたいです。