主任コンサルタント 柏原 吉晴
<ISO22000:2018年版解説(5)>
テーマ:経営に貢献するISO22000:2018
今回は、5.1「リーダーシップ及びコミットメント」を解説します。
トップが認識すべきことと、実践して頂きたいことが書かれています。要求事項は次の通りです。
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トップマネジメントは、次に示す事項によって、FSMSに関する
リーダーシップ及びコミットメントを実証しなければならない:
a) FSMSの食品安全方針及び目標を確立し、それらが組織の戦略的な方向性と両立することを確実にする;
b) 組織の事業プロセスへのFSMSの要求事項の統合を確実にする;
c) FSMSに必要な資源が利用可能であることを確実にする;
d) 有効な食品安全マネジメントの重要性を伝達し、かつ、FSMS 要求事項、適用される法令・規制要求事項、並びに食品安全に関する相互に合意した顧客要求事項に適合する;
e) FSMSが、その意図した結果(4.1参照)を達成するように評価及び維持されることを確実にする;
f) FSMSの有効性に寄与するよう人々を指揮し、支援する;
g) 継続的改善を推進する;
h) その他の関連する管理層がその責任の領域においてリーダーシップを実証するよう、管理層の役割を支援する。
注記 この規格で“事業” という場合、それは、組織の存在の目的の中核となる活動という広義の意味で解釈され得る。
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まずa)~h)がトップに求められています。
a) 組織の戦略的方向に沿った食品安全方針と目標を確立する。方針はトップ自身が考え、目標は策定に関与すると良いでしょう。
b) 組織の中核事業にFSMSを統合させ、FSMSをダブルスタンダードにしないことが重要です。
c) FSMSに必要な経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報など)を割り当てましょう。
d) 従業員に食品安全マネジメントの重要性を方針を通じて伝達しましょう。方針には、規格、法令規制、顧客要求に適合させることが盛り込まれています。
e) FSMSを使って、方針や目標、食品安全などの評価をしましょう。
f) FSMSを有効にするため、経営層及び従業員を指揮、支援しましょう。
g) 継続的改善を推進しましょう。
h) 管理層がリーダーシップを発揮できるように支援しましょう。
これらの要求事項は、当然認識されていることでしょうが、どのように実践されているかを問われた場合に、上手くお答えして頂きたいと願います。
今回の改訂は、ISOと経営の統合を意識しています。
経営戦略、中核事業、FSMSに必要な経営資源など、これらの認識と、FSMSが実際の経営にどのように落とし込まれているか、そのプロセスの存在が大変重要だと考えます。
組織にとって必要なマネジメントシステムの一つがFSMSです。
トップは、このFSMSを使って、経営戦略の達成、中核事業の発展にどのように寄与しているかを語ることができるようになってほしいです。