主任コンサルタント 柏原 吉晴
<ISO22000:2018年版解説(7)>
テーマ:経営に貢献するISO22000:2018
TBCSグループの食品会社向け専門コンサルティング組織である
株式会社フィールズコンサルティングの柏原吉晴が担当します。
引き続き、ISO研修の「TBCソリューションズ」、
食品安全コンサルティング、経営支援の「フィールズコンサルティング」を
ご支援とご愛顧の程、よろしくお願い申し上げます。
さて今回は、5.3「組織の役割、責任及び権限」を解説します。
組織には、組織図があり、その組織図に沿った各部門・セクションの役割と、
その役割が担う責任と権限があるのは、当然のことです。
FSMSと組織の事業を統合させるためにも、それらが乖離している組織は、
次の要求事項を十分に適合させる必要があります。
要求事項は次の通りです。
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5.3.1 トップマネジメントは、関連する役割に対して、
責任及び権限が割り当てられ、組織内に伝達され、理解されることを
確実にしなければならない。
トップマネジメントは、次の事項に対して、責任及び権限を
割り当てなければならない:
a) FSMSが、この規格の要求事項に適合することを確実にする;
b) FSMSのパフォーマンスをトップマネジメントに報告する;
c) 食品安全チーム及び食品安全チームリーダーを指名する;
d) 処置を開始し、文書化する明確な責任及び権限をもつ人を指名する。
5.3.2 食品安全チームリーダーは、次の点に責任をもたなければならない:
a) FSMS が確立され、実施され、維持され、また更新されることを確実にする;
b) 食品安全チームを管理し、その業務を取りまとめる;
c) 食品安全チームに対する関連する訓練及び力量(7.2参照)を確実にする;
d) FSMS の有効性及び適切性について、トップマネジメントに報告する。
5.3.3 全ての人々は、FSMS に関する問題点をあらかじめ決められた人に
報告する責任をもたなければならない。
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以下のことを実施します。
1.すべての従業員に対し、責任・権限を明確にするため、組織図や職務分掌を
明確にして、周知させます。
2.特に、食品安全に関する食品安全担当者を任命し、その担当によって
迅速かつ適切な問題解決が行われるようにしましょう。
3.トップマネジメントは、食品安全マネジメントシステムに対し、
全般的な責任と権限を与えられた「食品安全チームリーダー」を指名して、
その食品安全チームリーダーが、食品安全チームを運営し、教育し、
FSMSのPDCA(計画→運用→評価→改善)が回るよう、FSMSを管理します。
現代のように、様々な職務形態の人々が同じ職場で働き、年齢や国籍などが
違う状況の中で、同じ方針及び目標に向かって行動しなければならないのは、
なかなか簡単なことではありません。まして従業員の人数規模の大きな組織は、
部門間、部門内のコミュニケーションも十分ではない例が多々あります。
組織としてあるべき組織機構を構築し、また時代と共に変容させながら、
割り当てられた役割が確実に遂行できる体制造りがとても重要です。
特に、問題点や課題を現場が把握した際、それらの情報が、報告されるべき
責任者にちゃんと報告されたか、十分に情報が伝わっているか、これらを
分析・評価して改善するよう、モニタリングの対象にしても良いかもしれません。