主任コンサルタント 柏原 吉晴
<ISO22000:2018年版解説(14)>
テーマ:経営に貢献するISO22000:2018
TBCSグループの食品会社向け専門コンサルティング組織である株式会社フィールズコンサルティングの柏原吉晴が担当します。
今回は、7.2「力量」を解説します。
組織のマネジメントシステムを維持、向上させる上で、従業員に求める能力=力量の管理は大変重要となります。
必要な力量が不足している場合には、その必要な力量を身に付けるため教育・訓練を行ったり、外部人材を採用するなどの対応が必要になります。
要求事項は次の通りです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
7.2 力量
組織は、次の事項を行わなければならない:
a) 組織の食品安全パフォーマンス及びFSMS の有効性に影響を与える業務を、その管理下で行う外部提供者を含めた、人(又は人々)に必要な力量を決定する
b) 適切な教育、訓練及び/又は経験に基づいて、食品安全チーム及びハザード管理プランの運用に責任をもつ者を含め、それらの人々が力量を備えていることを確実にする;
c) 食品安全チームが、FSMS を構築し、かつ、実施する上で、多くの分野にわたる知識及び経験を合わせもつことを確実にする(FSMS の適用範囲内での組織の製品、工程、装置及び食品安全ハザードを含むが、これらだけに限らない)
d) 該当する場合には、必ず、必要な力量を身に付けるための処置をとり、とった処置の有効性を評価する
e) 力量の証拠として、適切な文書化した情報を保持する。
注記 適用される処置には、例えば、現在雇用している人々に対する、教育訓練の提供、指導の実施、配置転換の実施などがあり、また、力量を備えた人々の雇用、そうした人々との契約締結などもあり得る。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
まず、力量を求める対象に、従業員だけでなく外部提供者も加わりました。
日常・定期的に組織内で活動する外部業者についても力量の確認が必要です。
更に、ハザード管理プラン(OPRPプラン、HACCPプラン)工程に従事する者、および食品安全チームのメンバーに求められる力量についても評価が必要となります。
これらの力量を評価した上で、必要な力量を身に付けるための教育・訓練や異動、外部人材の採用などの対応が求められ、これら対応の証拠として、教育訓練記録、力量評価記録、受講証明、及び資格証など、各種記録を維持することとなります。
要求事項は上記の通りで、力量評価して教育訓練等実施すればよい訳ですが、経営的には、組織の短期・中長期の経営戦略において、必要な力量を特定し、特定された短期・中長期的な力量に対して、現状の人材で対応可能か、教育訓練するのか、新たに採用するのか、外部委託するのか等、現状とのギャップを明確にし、明確にしたギャップを埋めるための、短期・中長期的な「採用計画」および「人材育成計画」を策定、実施できると理想的と言えます。
また、身に付けた力量を維持することも大事です。
組織としては継続的能力開発(社内外の研修など)を従業員に提供することも重要です。
元気な組織として発展し続けるために、力量管理を上手に活用して下さい。
次回は、「7.3認識」を解説します。