主任コンサルタント 柏原 吉晴
<ISO22000:2018年版解説(26)>
テーマ:経営に貢献するISO22000:2018
TBCSグループの食品会社向け専門コンサルティング組織である株式会社フィールズコンサルティングの柏原吉晴が担当します。
今回も、「8.5.1 ハザード分析を可能にする予備段階」について解説します。
本日はその中の「8.5.1.2 原料、材料及び製品に接触する材料の特性」、及び「8.5.1.3 最終製品の特性」について解説します。
これらの要求事項は、自社製品を製造する上で使用される原料・材料の特性や、最終製品の特性を把握し、それら起因の食品安全ハザードを明確化するためにあります。
要求事項は以下の通りです。
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8.5.1.2 原料、材料及び製品に接触する材料の特性
組織は、全ての原料、材料及び製品に接触する材料に適用される全ての法令・規制食品安全要求事項が特定されることを確実にしなければならない。
組織は、全ての原料、材料及び製品に接触する材料に関して、必要に応じて、次のものを含め、ハザード分析を実施するために必要となる範囲で文書化した情報を維持しなければならない:
a) 生物的、化学的及び物理的特性;
b) 添加物及び加工助剤を含む、配合された材料の組成;
c) 由来(例えば、動物、鉱物又は野菜);
d) 原産地(出所);
e) 生産方法;
f) 包装及び配送の方法;
g) 保管条件及びシェルフライフ;
h) 使用又は加工前の準備及び/又は取扱い;
i) 意図した用途に適した、購入した資材及び材料の食品安全に関連する
合否判定基準又は仕様。
8.5.1.3 最終製品の特性
組織は、生産を意図している全ての最終製品に対する適用される全ての法令・規制食品安全要求事項が特定されることを確実にしなければならない。
組織は、最終製品の特性に関して、必要に応じて、次のものの情報を含め、ハザード分析を実施するために必要となる範囲で文書化した情報を維持しなければならない:
a) 製品名又は同等の識別;
b) 組成;
c) 食品安全に関する生物的、化学的及び物理的特性;
d) 意図したシェルフライフ及び保管条件;
e) 包装;
f) 食品安全に関する表示及び/又は取扱い、調理及び意図した用途に関する説明;
g) 流通及び配送の方法。
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ここでは割愛しますが、原料・材料、製品接触の材料、及び最終製品に関する法令規制はかなりあると思います。
法令規制で食品安全上の基準があれば、その基準が全て食品安全ハザードになります。
まずは、法令規制の情報収集を徹底しましょう。
次に「全て」の原料・材料・製品に対して、「必要に応じ」た項目(a~i/a~g)を、「必要となる範囲」で、情報収集しなければなりません。
どこまでが必要な情報なのかは、この後のハザード分析において、それらの情報から読み取れる食品安全ハザードがあるかないかのラインです。
食品安全ハザードを明確にする上で必要のない情報は、ここでは文書化を求めていません。
思い込みは危険ですが、無用と思われる情報収集に対して、経営上、限られた経営資源を投入することは、避けなければいけません。
次回は、「8.5.1.4 意図した用途」を解説します。