主任コンサルタント 柏原 吉晴
<ISO22000:2018年版解説(25)>
テーマ:経営に貢献するISO22000:2018
TBCSグループの食品会社向け専門コンサルティング組織である株式会社フィールズコンサルティングの柏原吉晴が担当します。
今回は、「8.5.1 ハザード分析を可能にする予備段階」について解説します。
まず8.5.1には、
8.5.1.1 一般
8.5.1.2 原料、材料及び製品に接触する材料の特性
8.5.1.3 最終製品の特性
8.5.1.4 意図した用途
8.5.1.5 フローダイアグラム及び工程の記述
まであります。
これらは、ハザード分析をするための前段階が書かれており、Codex HACCP12手順の2~5手順目までが書かれています。
なお、1手順目のHACCPチームの編成は、ISOの場合は食品安全チームの要求事項として、5.3や7.2に記述があります。
要求事項は以下の通りです。
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8.5.1.1 一般
ハザード分析を実施するために、食品安全チームは事前情報を収集し、維持し、更新しなければならない。これには次のものを含むが、
これらに限らない:
a) 適用される法令、規制及び顧客要求事項;
b) 組織の製品、工程及び装置;
c) FSMS に関する食品安全ハザード。
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「一般」の要求事項なので、この後の要求事項全般を網羅する内容ですが、8.5.1.2~8.5.1.5を実施する上で、上記a)b)c)において漏れは無いかを見直しする上で重要なキーワードとなります。
例えば、原料、材料、製品に接触する材料の特性を調べる際に、a)は、食品衛生法上で規格基準が決まっている食材に対して、その規格を満たした材料なのか、安全証明や分析成績書などを要求しなければなりません。
関係する法令規制要求事項を把握することが重要です。
b)は、製品や仕掛品が、装置上をどのように通過するのか、どのような箇所で接触するのかを把握することが重要です。
接触箇所はハザードになり得るからです。
c)は、原料・材料において、持ち込まれるハザードを確認しなければ、この後の自社工程において、2次汚染するかもしれません。
原料・材料由来のハザードの知識は重要です。
8.5.1.1~8.5.1.5は、この後の「8.5.2ハザード分析」をするためにある要求事項なので、
すべては、ハザードになり得る要因として意識することが重要です。
法令や顧客要求事項、製品、工程、装置、食品安全ハザードについて情報収集能力を有する組織であれば、有用なハザード分析が実施できます、且つ、食品安全以外の経営リスクの回避能力も向上するものと考えます。
次回は、「8.5.1.2 原料、材料及び製品に接触する材料の特性」を解説します。