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コンサルタント コラム

主任コンサルタント 柏原 吉晴

 

今回は、ISO9001「8.5.1製造及びサービス提供の管理」について解説します。

この要求事項は、日々の生産管理を意味します。

FSMS(ISO22000/FSSC22000)では、直接の要求事項はありませんが、安全な製品を
生産をするために、「7.5オペレーションPRP」及び「7.6.1HACCPプラン」で文書化
を求め、且つ、基本的な衛生管理のルールとして、「7.2前提条件プログラム」があります。

食品安全上は、これら3つを実行することで、製品安全を達成します。

これまで何度も申し上げてきましたが、企業は、製品安全だけではなく、品質上の
要求事項も満たした生産を続けていかなければなりません。

よって食品企業は、ISO9001を参考にした生産管理の仕組みが重要となります。

ISO9001の8.5.1の要求事項は、次の通りです。

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8.5.1 製造及びサービス提供の管理

組織は、製造及びサービス提供を、管理された状態で実行しなければならない。

管理された状態には、次の事項のうち、該当するものについては、必ず、含めなければならない。

a)次の事項を定めた文書化した情報を利用できるようにする。

1)製造する製品、提供するサービス、又は実施する活動の特性

2)達成すべき結果

b)監視及び測定のための適切な資源を利用できるようにし、かつ、使用する。

c)プロセス又はアウトプットの管理基準、並びに製品及びサービスの

合否判定基準を満たしていることを検証するために、適切な段階で

監視及び測定活動を実施する。

d)プロセスの運用のための適切なインフラストラクチャ及び環境を使用する。

e)必要な適格性を含め、力量を備えた人々を任命する。

f)製造及びサービス提供のプロセスで結果として生じるアウトプットを、それ以降の監視
又は測定で検証することが不可能な場合には、製造及びサービス提供に関するプロセスの、
計画した結果を達成する能力について、妥当性確認を行い、定期的に妥当性を再確認する。

g)ヒューマンエラーを防止するための処置を実施する。

h)リリース、顧客への引渡し及び引渡し後の活動を実施する。

―――――――――――――――――――――――――――

該当する場合は、a)からh)を実行しなければなりません。

a)は、製品特性や作業内容が書かれた文書を作成、それに沿った生産を行うことです。
レシピや生産予定表や製造日報など、今日やるべきことが明確に書かれていることが重要です。

FSMSの「7.3.3製品特性」が、製品・サービスの特性に該当しますが、「2)達成すべき結果」は
明確には書かれていません。組織において、生産量、生産効率、設備稼働時間、歩留まりなど、
日々の生産において重要な目標が多々あるかと思います。
FSMSをしている組織においても、重要な要求事項だと考えます。

b)は、モニタリングに使用する帳票類や測定機器を準備・配置します。
FSMSでは「8.3モニタリング及び測定の管理」に適合させることで良いです。

c)は、受入検査、工程内検査、最終検査など、各工程における合否基準、判断基準を明確にします。
OPRP又はHACCP工程であれば、文書化されます。

d)は、作業をする上で必要な設備や作業環境を整えることです。
前提条件プログラムに規定する作業が含まれることでしょう。

e)は、作業をする上で必要な力量を身に付けた者を配置することです。
FSMSの「6.2人的資源」を徹底することと、日々のシフト調整が重要です。

f)は、プロセスの妥当性確認です。特に日配品を製造する組織は、工程管理を徹底し、
OPRP及びHACCPプランの実行を監視することが重要です。

g)は、作業上のヒューマンエラーを防止する手段を構築し、実行することです。
FSMSでは、ハザード分析が広い意味では該当しますが、「人間」に焦点を当てている点において、
ISO9001に特異的な要求事項だと考えます。詳しくは、来月のメルマガで解説したいと思います。

h)は、次工程への引渡し、出荷、納品、納品後の活動を実施することです。
FSMSでは安全の視点から、前提条件プログラム、OPRP、及びHACCPプランが該当します。
品質の視点は抜けていますが、そこは意識して、前提条件プログラムに規定する手順に盛り
込めばよいと考えます。

以上ですが、組織は、日々の生産効率、歩留まり、人件費の適正化など、当然考えなければならない
要素がたくさんあります。
FSMSを導入されている食品企業も、ISO9001を参考にした生産管理をされてはどうでしょうか。

次回、g)の「ヒューマンエラー防止」について深堀したいと思います。

柏原 吉晴(かしわばら よしはる)

Yoshiharu Kashiwabara

TBCSグループ、株式会社フィールズコンサルティング 取締役
(ISO / FSSC / 経営支援のコンサルティング実績 300社以上)
東京農工大学大学院、ビジネス・ブレークスルー大学大学院修了(農学修士、MBA)
QMS及びFSMS審査員研修修了

大学院修了後、ホテル・旅館向けの経営及び衛生コンサルティングを行う組織で、 全国40社以上のホテル・旅館の人件費削減、HACCP厨房設計、システム運営指導、ISO認証支援を行い、また、全国50社以上の食品衛生指導、浴場衛生指導を定期的に行ってきた。
2008年からは、株式会社TBCソリューションズで、QMS、EMS、及びFSMSなどの認証取得や運営のコンサルティング、内部監査員養成研修講師、及び経営コンサルティングを担当した。
2018年10月からは、TBCソリューションズから分社化し、食品専門のコンサルティングファームとして、株式会社フィールズコンサルティングを設立、取締役に就任し、 FSMSを中心に、食品会社向けの総合的なコンサルティングを提供している。また、全国各地での講演や、執筆活動も行っている。

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