主任コンサルタント 柏原 吉晴
今回は、JFS規格についてお話しします。
まだ一般的には知名度が低いですが、JFSという規格があります。 この規格オーナーは、農林水産省の主導で設立された 一般財団法人食品安全マネジメント協会です。 規格スキームは、A/B/C規格の三種類あり、 Aは、一般衛生管理が中心で一部HACCP要素が入り、 Bは、HACCP12手順を完全に含み、且つマネジメントシステム の要素が入ります。 Cは、国際規格としてGFSIの承認を意図したシステム構成と なっています。
厚労省が進めているHACCP義務化と連動し、JFS-A規格は、 厚労省の基準Bとほぼ同等で、JFS-B規格は、基準Aとほぼ同等と 考えて良い構成になっています。
実際、食品安全マネジメント協会は、HACCP義務化を見据えて JFS-B規格を自治体HACCP認証の基準とすることを一部の自治体で 進めています。
JFS規格の推進は、食品安全管理体制のグローバル化と、 国産食品の輸出戦略において重要な意味を持ち、かつ、 食品安全マネジメント協会の法人会員を見ると、 JFS規格が様々な局面で求められることは、そう遠くはない と感じます。
食品関連組織の多くが、国内のみならず海外へ販路を求めるなど、 組織の継続的成長のためにも、また、製品の品質や安全という 基本を確実に守り、また、自然災害やフードテロや偽装など 様々なリスクに対応するためにも、FSSCやJFSのような規格に 対応することは大きな意味があります。 ISOやFSSCにはない、JFS-C規格の特徴的な要求事項を紹介します。
まず全体構成は、GMP(適正製造規範=PRP)が1~18項、 HACCP部分は、コーデックスの手順通り12手順あります。 マネジメントシステムの要求事項として、FSM1~30があります。
GMP(適正製造規範)は、前提条件プログラム(ISO/TS22002)で 対応が可能です。HACCP手順もISO22000に含まれています。 多くの要求事項は、ISO22000、ISO/TS22002、及び FSSC追加要求事項(Ver4.1)で対応が可能です。 特徴的なものは以下の通りです。
FSM14…製品のリリースについて手順を求めています。 出荷判定は品質保証にとって重要です。
FSM15/17…災害などの緊急時のサプライヤーの評価・選定の要求 があります。緊急時の体制整備は顧客の信頼獲得にも寄与します。
FSM19…現場からの改善提案の活用する仕組みの構築を求めています。 現場からの改善提案をボトムアップでシステムに反映させましょう。
GMP18…製品の容器包装資材由来の汚染を管理するよう求めています。 使用している容器包装資材由来のリスク低減を計りましょう。
FSSC22000認証組織にとっては、少し要求事項を加えるだけで 認証可能です。 現状システムの継続的改善の一環として、取組んでみては いかがでしょうか。