主任コンサルタント 柏原 吉晴
今回は、ISO9001「9.1 監視、測定、分析及び評価」について解説します。
FSMSでは、監視・測定については、OPRPやHACCPプランでも要求されていますが、
これらに限らず、様々な要求事項が監視、測定に関連します。
分析・評価については、「8.4.2 個々の検証結果の評価」や、
「8.4.3 検証活動の結果の分析」で要求され、また、
「8.5.2 食品安全マネジメントシステムの更新」でもFSMSの評価が
要求されています。
まず、ISO9001の9.1.1の要求事項は、次の通りです。
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9.1.1 一般
組織は、次の事項を決定しなければならない。
a)監視及び測定が必要な対象
b)妥当な結果を確実にするために必要な、監視、測定、分析及び評価の方法
c)監視及び測定の実施時期
d)監視及び測定の結果の、分析及び評価の時期
組織は、品質マネジメントシステムのパフォーマンス及び有効性を
評価しなければならない。
組織は、この結果の証拠として、適切な文書化した情報を保持しなければならない。
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やはり注目したいのは、監視・測定の対象と、分析・評価を含めた、
方法と時期を要求している点です。
FSMSでは、検証プランの対象となる「PRP、OPRP、CCP」に関しては、
細かい要求がありますが、全体計画のようなものはありません。
検証プラン以外の監視・測定、及び分析・評価の対象となるものとして、
以下のような項目が挙げられると考えます。
①目標の達成状況
②コミュニケーション(外部、内部)の実施とその内容
③力量評価の結果、及び教育訓練の有効性
④緊急事態の発生状況、及び訓練結果
⑤内部監査の結果
⑥供給者(アウトソース含む)のパフォーマンス
⑦顧客満足(マーケティング)の結果
⑧フードディフェンスのパフォーマンス
⑨食品偽装防止のパフォーマンス
⑩その他リスク及び機会
③⑤に関しては、要求事項上、適合性及び有効性の視点から評価される
可能性が高いと思いますが、③⑤以外は、FSMSでは、それらの監視・測定、
分析・評価の要求が弱いと感じます。
QMSを参考に、FSMSを包括的に検証し、且つ有効性を向上させる仕組み構築の
参考になるのではないでしょうか。