主任コンサルタント 柏原 吉晴
最終回は、ISO9001「9.3 マネジメントレビュー」について解説します。
FSMSでも「5.8 マネジメントレビュー」がありますが、
インプット項目、アウトプット項目が異なります。両者を見比べた時に、
①製品及びサービスの適合
②資源の妥当性
この2点をFSMSでは強化した方が良いと感じます。
これ以外は、ISO9001:2015年版の特徴である、外部・内部の課題、及び
リスクと機会への取り組みについても違いがありますが、
前回(40)のコラムで、以下の①~⑩を監視・測定及び分析・評価の対象
とすると良い旨を解説しました。
①目標の達成状況
②コミュニケーション(外部、内部)の実施とその内容
③力量評価の結果、及び教育訓練の有効性
④緊急事態の発生状況、及び訓練結果
⑤内部監査の結果
⑥供給者(アウトソース含む)のパフォーマンス
⑦顧客満足(マーケティング)の結果
⑧フードディフェンスのパフォーマンス
⑨食品偽装防止のパフォーマンス
⑩その他リスク及び機会
前回コラムの上記項目を考慮しても、
①製品及びサービスの適合、②資源の妥当性、について
FSMSではインプットが弱いと考えています。
FSMSでは食品安全をターゲットとしていますが、
食品関連組織として製品の品質管理をすることは当然です。
よって、製品・サービスの適合性として、配合、製造条件、
外観・形状、包装・梱包状態、表示などをチェックします。
その結果を、不良数(率)、歩留、手直し量(率)などで
評価されていると思います。
また、組織活動を維持するためには経営資源が必須です。
その経営資源の妥当性を評価し、適切な利益が出せているかを評価し、
その結果に対して経営判断することがトップマネジメントに
求められていることです。
FSMS運用組織も、ISO9001を活用して、
①製品及びサービスの適合
②資源の妥当性
について、分析・評価し、マネジメントレビューでインプットすることを
お勧めします。
今回で「ISO9001:2015を活用したFSMS」のコラムは終了します。
次回からは、ISO22000:2018の解説をします。