主任コンサルタント 柏原 吉晴
今回は、ISO9001「8.7 不適合なアウトプットの管理」について解説します。
FSMSでは、「7.10 不適合の管理」と同等ですが、7.10には、「7.10.1 修正」、
「7.10.2 是正処置」、「7.10.3 安全でない可能性がある製品の取り扱い」の
3つに分かれます。
まずは、ISO9001の8.7の要求事項は、次の通りです。
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8.7.1 組織は、要求事項に適合しないアウトプットが
誤って使用されること又は引き渡されることを防ぐために、
それらを識別し、管理することを確実にしなければならない。
組織は、不適合の性質、並びにそれが製品及びサービスの
適合に与える影響に基づいて、適切な処置をとらなければならない。
これは、製品の引渡し後、サービスの提供中又は提供後に検出された、
不適合な製品及びサービスにも適用されなければならない。
組織は、次の一つ以上の方法で、不適合なアウトプットを
処理しなければならない。
a)修正
b)製品及びサービスの分離、散逸防止、返却又は提供停止
c)顧客への通知
d)特別採用による受入の正式な許可の取得
不適合なアウトプットに修正を施したときには、
要求事項への適合を検証しなければならない。
8.7.2 組織は、次の事項を満たす文書化した情報を保持しなければならない。
a)不適合が記載されている。
b)とった処置が記載されている。
c)取得した特別採用が記載されている。
d)不適合に関する処置について決定する権限をもつ者を特定している。
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この要求事項は以下を求めています。
①要求事項に適合しない製品・サービスやプロセスの識別、管理
②不適合に合わせて、適切な処置をとる。例えば、
a)修正、
b)分離、散逸防止、返却又は提供停止、
c)顧客への通知、
d)特別採用
③文書化(不適合内容、その特別採用含む処置内容、その決定者)
①に関してFSMSでは、7.10.1で要求しています。
②に関してFSMSでは、7.10.1で修正、7.10.3.3で再加工、破壊、廃棄、
7.10.4で利害関係者への通知や回収を要求しています。
③に関してFSMSでは、7.10.1及び7.10.2でそれぞれ要求しています。
よって、ほぼQMSもFSMSも同じような要求事項ですが、
注目したいのは不適合に対する処置として、
「分離、散逸防止、返却、提供停止、特別採用」です。
分離も散逸防止も、不適合の識別・隔離・緩和処置のような意味がある
と考えます。返却は回収とほぼ同義として、あと、提供停止という判断があり、
特別採用という顧客も巻き込んだ判断があり、これらの判断の持つ意味は、
実際の不適合製品の管理、製品回収の対応として、既存の手順を補完する
ものではないでしょうか。
是非「分離、散逸防止、返却、提供停止、特別採用」を、
既存の手順書の見直しの参考にして下さい。