主任コンサルタント 柏原 吉晴
<ISO22000:2018年版解説(16)>
テーマ:経営に貢献するISO22000:2018
TBCSグループの食品会社向け専門コンサルティング組織である株式会社フィールズコンサルティングの柏原吉晴が担当します。
今回は、「7.4コミュニケーション」を解説します。
2005年版には無かった「7.4.1一般」が、2018年版になって追加されています。
その後に続く「7.4.2外部コミュニケーション」および「7.4.3内部コミュニケーション」の要求事項は、基本的に変更はありません。
7.4.1および7.4.2の要求事項は次の通りです。
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7.4.1 一般
組織は、 次の事項の決定を含む FSMSに関連する内部及び外部のコミュニケーションを決定しなければならない。
a) コミュニケーションの内容;
b) コミュニケーションの実施時期;
c) コミュニケーションの対象者;
d) コミュニケーションの方法;
e) コミュニケーションを行う人。
組織は、食品安全に影響を与える活動を行う全ての人が、効果的なコミュケーションの要求事項を理解することを確実にしなければならない。
7.4.2 外部コミュニケーション
組織は、十分な情報が外部に知らされ、かつ、フードチェーンの利害関係者が利用できることを確実にしなればならない。
組織は、次のものとの有効なコミュニケーションを確立し、実施し、かつ、維持しなければならない;
a) 外部提供者及び契約者;
b) 次の事項に関する顧客及び/又は消費者:
1) フードチェーン内での又は消費者による製品の安全な取扱い、陳列、保管、調理、流通及び使用を可能にする、食品安全に関する製品情報;
2) フードチェーン内の他の組織による、及び/又は消費者による管理が必要な、特定された食品安全ハザード;
3) 修正を含む、契約した取り決め、引き合い及び発注;
4) 苦情を含む顧客及び/又は消費者のフィードバック;
c) 法令・規制当局;
d) FSMS の有効性又は更新に影響する、又はそれによって影響されるその他の組織。
指定された者は、食品安全に関するあらゆる情報を外部に伝達するための、明確な責任及び権限をもたなければならない。
該当する場合、外部とのコミュニケーションを通じて得られる情報は、マネジメントレビュー及びFSMS の更新へのインプットとして含めなければならない。
外部コミュニケーションの証拠は、文書化した情報として保持しなければならない。
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まず、7.4.1は、派遣社員など外部人材も含め、社内で働く全ての従業員に、食品安全上の様々な情報について、それぞれ何の情報を、いつ、誰が誰に対して、どのように、
伝達され、且つ入手できるかを理解させることを求めています。
それぞれの階層や役割で、必要とする情報は違います。
それぞれの従業員が、聞いた・感じた・見た、製品不適合・機械の不具合・手順変更・ハザード情報など、これらの重要情報が、報連相されず、結果、重大なクレームや製品不適合や回収事例に発展することを防ぎましょう。
自社組織のコミュニケーションについて、よく顧みて、コミュニケーションエラーを起因とする不適合製品や不適合プロセスが発生しているなら、改善の余地は十分にあるかと思います。
外部コミュニケーションについては、
①原料・資材等の供給業者、委託契約している取引先、
②顧客や消費者
③法令規制当局(保健所、消費者庁、農政局など)
④その他(メディア等)
との効果的な情報伝達・共有ができれば良いです。
報告が必要な外部情報については、記録に残しましょう。
消費者とのやり取りで、正しい情報を伝えられず重大クレームに発展したり、顧客とのやり取りで失注したり、機会損失を招くことがない対応が望まれます。
他社や消費者の責任で対応しなければならない食品安全ハザードは、組織からの情報発信が必須です。
例えば、アレルゲンの存在や、魚介類の寄生虫汚染や、焼き肉用の生肉の危険性などです。
特に、一般消費者を相手にしている組織は、効果的な外部コミュニケーションが重要です。
苦情対応マニュアルを作成して、対応者に教育し、力量を確実なものにしましょう。
次回は、「7.4.3 内部コミュニケーション」を解説します。