主任コンサルタント 柏原 吉晴
<ISO22000:2018年版解説(31)>
テーマ:経営に貢献するISO22000:2018
TBCSグループの食品関連向け専門コンサルティング組織である株式会社フィールズコンサルティングの柏原吉晴が担当します。
当社は、JFS規格の監査会社もしています。
本日は「8.5.2.4 管理手段の選択及びカテゴリー分け」について解説します。
この要求事項は、HACCP7原則の原則2「重要管理点(CCP)の決定」に該当し、HACCP構築上、大変重要なステップです。
要求事項は以下の通りです。
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8.5.2.4.1
ハザード評価に基づいて、組織は、特定された重要な食品安全ハザードの予防又は低減して、規定の許容水準にすることができる、適切な管理手段又はその適切な組合せを選択しなければならない。
組織は、選択され特定された管理手段を、OPRP(s)又はCCPsとして管理するようにカテゴリー分けしなければならない。
カテゴリー分けは、系統的なアプローチを用いて実施しなければならない。
選択したそれぞれの管理手段については、次の評価がなければならない:
a) 機能逸脱の起こる可能性;
b) 機能逸脱の場合の結果の重大さ。この評価には、次を含む:
1) 特定された重要な食品安全ハザードへの影響;
2) 他の管理手段との関係における位置づけ;
3) 管理手段が特に、ハザードの許容水準までの低減のために考案され、適用されるのか否か;
4) 単一の手段か又は管理手段の組合せの一部であるかどうか。
8.5.2.4.2
さらに、それぞれの管理手段に対して、系統的なアプローチは次の可能性の評価を含まなければならない:
a) 測定可能な許容限界及び/又は測定可能/観察可能な処置基準の確立;
b) 許容限界及び/又は測定可能/観察可能な処置基準内からのあらゆる逸脱を検出するためのモニタリング;
c) このような逸脱の場合の、タイムリーな修正の適用。
意思決定プロセス及び管理手段の選択並びにカテゴリー分けの結果は、文書化した情報として維持しなければならない。
管理手段の選択及び厳格さに影響を与える可能性がある外部からの要求事項(例えば、法令、規制及び顧客要求事項)も文書化した情報として維持しなければならない。
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前回のハザード評価で「重要な食品安全ハザード」が決定しますので、そのハザードに対して効果があると考える「管理手段」を選択します。
例えば、「腸管出血性大腸菌」という重要なハザードに対して、「加熱」という管理手段を選択します。
その管理手段を、機能逸脱の起こる可能性、及び機能逸脱の場合の結果の重大さで評価し、OPRP又はCCPに分類することを求めています。
例えば、スチームコンベクションオーブンによる加熱で、加熱が失敗する、故障する可能性(起こりやすさ)を評価し、可能性が高ければ、管理手段そのものの見直しが必要かもしれませんし、モニタリングの頻度を高めて、逸脱を確実に検知する手段を構築する必要があるかもしれません。
また、機能逸脱(例;加熱不足、未加熱)の場合に、腸管出血性大腸菌が残存する可能性とその結果の重大さ(例;死亡)、殺菌する工程が、その後工程に無い場合の重大さ(この工程で確実に制御)、加熱工程が、殺菌を意図して確立された工程であったり、前後の工程と組み合わせで管理することを意図する工程であることを評価して、CCP管理が適当なのか、OPRP管理が適当なのかを判断します。
基本は、機能逸脱の可能性(起こりやすさ)と、機能逸脱時のハザードがもたらす重大さで評価し、その評価が高ければCCP、そうでなければOPRPになります。
更に、加熱という管理手段が、CLやACを確立できること、CLやACの逸脱検出のためのモニタリングができること、逸脱時のタイムリーな修正が適用できることを、求めています。
これらが不可能であれば、可能にするCCP又はOPRPの管理手段に再構築しなければなりません。
一連の手法や分類結果については、文書化しなければなりません。
また、法令規制や顧客要求事項によって、CCP又はOPRPの選択が決定することもあります。
次回は「8.5.3 管理手段及び管理手段の組合せの妥当性確認」を解説します。