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コンサルタント コラム

主任コンサルタント 柏原 吉晴

 

本コラムでは、ISO22000又はFSSC22000(食品安全マネジメントシステム)の規格解説を中心に、ISO 9001品質マネジメントシステムとの違いや特徴、及びフードチェーン関連組織のISO 9001の活用方法なども解説します。

 

今回は、ISO 22000要求事項「7.3.2 食品安全チーム」について、解説致します。

 

食品安全マネジメントシステムの中心活動は、何と言ってもハザード分析です。

一度やっておしまいではなく、これも継続的改善が必要です。継続的改善には、改善ネタが必要となりますが、ネタの情報源は、外部/内部コミュニケーション活動から得ることとなります。最終的にそれらの情報が集まる場所が、食品安全チームです。

 

食品安全チームの要求事項は以下の通りです。

 

‐食品安全チームは,指名されること。

‐食品安全チームは,食品安全マネジメントシステムを構築し,かつ,実施する上で,多方面の知識と経験を合わせもつこと。このことは,組織の食品安全マネジメントシステムの適用範囲内の製品,工程,装置及び食品安全ハザードなどを含むが,これらに限定されない。

‐食品安全チームが,必要とされる知識及び経験をもっていることを実証する記録を維持すること。

 

この2段落目に書かれている「多方面の知識と経験を合わせもつ」要員で構成されることが重要で、具体的には「製品,工程,装置及び食品安全ハザード」に関する知識と経験を合わせ持つことが望まれます。これはチーム要員の一人一人が持っていなければならない知識と経験ではなく、チーム全体として、これらの知識と経験を網羅できれば良いわけです。また、「これらに限定されない」ともあるので、前述の製品、工程、装置及び食品安全ハザード以外にも、

(1)法令、

(2)ヒト、

(3)カネ、

(4)流通、

なども、食品安全チームの知識と経験として重要と考えます。

 

これらを統括・管理する部門として、(1)法務、(2)総務・人事、(3)経理・財務、(4)営業などの各部門が、食品安全チームメンバーとして加わることが、尚良いと思います。

 

(1)法令については、法令の制定や改正は、表示などに係る重要な外部情報ですし、

(2)ヒトについては、採用段階から、食品安全の認識についてしっかり選考していかなければヒトの認識やモラルの低下がもたらす食品事件が多発することが予想されます。

(3)カネについては、経営計画に基づき設備投資がされるので、計画的に施設や設備の更新費用を予測・予防保全していかないと、忙しい時に限って故障し、その状態で無理に生産を続けて、最後は大事故につながります。

(4)流通については、配送段階、小売り店舗での販売、バックヤードでの保管状態など、問題があれば、営業を通してしっかり改善指導していかないと、食卓までの安全は担保できません。

 

安全は、食品安全チームが担いますが、品質や生産性やマーケティングなど、各分野のスペシャルチームが組織内にあり、各分野のリスク評価をするというのはいかがでしょうか。

柏原 吉晴(かしわばら よしはる)

Yoshiharu Kashiwabara

TBCSグループ、株式会社フィールズコンサルティング 取締役
(ISO / FSSC / 経営支援のコンサルティング実績 300社以上)
東京農工大学大学院、ビジネス・ブレークスルー大学大学院修了(農学修士、MBA)
QMS及びFSMS審査員研修修了

大学院修了後、ホテル・旅館向けの経営及び衛生コンサルティングを行う組織で、 全国40社以上のホテル・旅館の人件費削減、HACCP厨房設計、システム運営指導、ISO認証支援を行い、また、全国50社以上の食品衛生指導、浴場衛生指導を定期的に行ってきた。
2008年からは、株式会社TBCソリューションズで、QMS、EMS、及びFSMSなどの認証取得や運営のコンサルティング、内部監査員養成研修講師、及び経営コンサルティングを担当した。
2018年10月からは、TBCソリューションズから分社化し、食品専門のコンサルティングファームとして、株式会社フィールズコンサルティングを設立、取締役に就任し、 FSMSを中心に、食品会社向けの総合的なコンサルティングを提供している。また、全国各地での講演や、執筆活動も行っている。

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