主任コンサルタント 柏原 吉晴
<ISO22000:2018年版解説(9)>
テーマ:経営に貢献するISO22000:2018
TBCSグループの食品会社向け専門コンサルティング組織である株式会社フィールズコンサルティングの柏原吉晴が担当します。
さて今回は、6.2「FSMSの目標及びそれを達成するための計画策定」を解説します。
2005年版にも「目標」についての要求はありましたが、2018年版になって目標管理の要素が強く要求され、より取組みが具体的になりました。
組織内の関連する機能及び階層において、FSMSの目標を確立して、その目標の達成計画を作ることになります。
要求事項は次の通りです。
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6.2 FSMSの目標及びそれを達成するための計画策定
6.2.1 組織は、関連する機能及び階層において、FSMSの目標を確立しなければならない。
FSMSの目標は、次の事項を満たさなければならない:
a) 食品安全方針と整合している;
b) (実行可能な場合)測定可能である;
c) 法令、規制及び顧客要求事項を含む、適用される食品安全要求事項を考慮に入れる;
d) モニタリングし、検証する;
e) 伝達する;
f) 必要に応じて、維持及び更新する。
組織は、FSMSの目標に関する、文書化した情報を保持しなければならない。
6.2.2 組織は、FSMSの目標をどのように達成するかについて計画するとき、次の事項を決定しなければならない。:
a) 実施事項;
b) 必要な資源;
c) 責任者;
d) 実施事項の完了時期;
e) 結果の評価方法。
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以下のことを実施します。
①測定可能な目標を確立して、文書化します。
②目標実施計画を策定します。このとき、a)実施事項、b)必要な資源、
c)責任者、d)完了時期、e)結果の評価方法、を含めることと、
評価方法については、パフォーマンス指標(KPI)があると尚良いです。
まず、FSMSの目標は、
組織の関連する機能及び階層で確立すれば良いです。
全ての部門で作成することは求めていません。
また、基本は測定可能な目標とし、進捗管理が確実にできることが求められます。
例えば、
①製品事故・食中毒ゼロ
②法令順守・法令違反ゼロ
などです。
ここで注意いただきたいのは、食品安全マネジメントシステム(FSMS)の目標であって、食品安全(FS)の目標ではありません。
食品安全(FS)の目標では範囲が狭くなります。
よって、上記①②のような食品安全の目標を設定したのち、マネジメントシステムにも係る目標を挙げると尚良いです。
例えば、
①社内不良率低減
②原価低減
③歩留向上
④供給者・契約者評価点アップ
⑤生産性向上
⑥清掃洗浄点数の向上(ATPふき取り値)
⑦害虫捕獲数減少
⑧包装不良数減少
⑨長期滞留品(期限2/3超過)の削減、
⑩配送コスト削減・配送不良ゼロ
⑪資格取得(食品表示検定、QC検定)
⑫従業員満足向上
⑬新管理手段の学会発表件数(迅速検査法等)
⑭特許出願件数
⑮顧客満足度評価点アップ
⑯苦情件数削減(品質、安全)
⑰食品リサイクル率向上
⑱外部審査不適合件数削減
⑲労働災害件数ゼロ
などなど、挙げ始めるとキリがありません。
皆様の組織にとって、重要な目標を立てて下さい。
FSMSの目標達成計画には、「必要な資源」を計画し、確実な予算の割り当てにより、目標の達成を目指してください。
また、「結果の評価方法」としては、評価指標(KPI)を設定し、単に目標を達成した未達成だったと一喜一憂するのではなく、高い目標であっても、確実な進捗を刻める指標があると締まった目標管理になるでしょう。