主任コンサルタント 柏原 吉晴
<ISO22000:2018年版解説(10)>
テーマ:経営に貢献するISO22000:2018
TBCSグループの食品会社向け専門コンサルティング組織である
株式会社フィールズコンサルティングの柏原吉晴が担当します。
さて今回は、6.3「変更の計画」を解説します。
FSMSの変更の必要性を決定した場合に、考慮すべきことが要求されていますが、
FSMSの場合、この要求事項と密接に関係する要求事項が他に存在します。
要求事項は次の通りです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
6.3 変更の計画
組織が、人の変更を含めてFSMSへの変更の必要性を決定した場合、
その変更は計画的な方法で行われ、伝達されなければならない。
組織は、次の事項を考慮しなければならない:
a) 変更の目的及びそれによって起こり得る結果;
b) FSMS が継続して完全に整っている;
c) 変更を効果的に実施するための資源の利用可能性;
d) 責任及び権限の割当て又は再割当て。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以下のことを実施します。
①FSMSを変更する場合は、計画的に実施すること。
②FSMS変更後の想定される結果を考慮し、リスクがあれば回避すること。
③FSMSを維持しながらFSMSを変更すること。
④FSMSの変更に際し、経営資源が十分か考慮すること。
⑤FSMSの変更に際し、組織変更、人事異動を考慮すること。
ポイントは、変更のリスクです。
継続的改善や更新活動は、良い結果を意図してするものですが、
FSMSの変更に伴い、
・慣れていない従業員による不適合の増加、
・実施すべきモニタリングの未実施、
・管理コストの増加、
・不十分なハザード管理(ハザードの残留、増加)、
・情報の未伝達に伴う現場の混乱、
などの多くのリスクが想定されます。
更に、この要求事項と密接に関係する要求事項として、
「10.3 食品安全マネジメントシステムの更新」があります。
FSMSの更新をするために、次の事項に基づいて
FSMSの更新活動を行うことを要求しています。
a) 内部及び外部コミュニケーションからのインプット
b) FSMSの適切性、妥当性及び有効性に関するその他の情報からのインプット
c) 検証活動の結果の分析からのアウトプット
d) マネジメントレビューからのアウトプット
これらa)~d)においても、6.3が求める「変更リスク」があることを
忘れてはいけません。
経営資源は有限であり、食品安全とマネジメントシステムを上手に
バランスよく、運用変更も含めた運用管理をすることをお勧めします。