主任コンサルタント 柏原 吉晴
<ISO22000:2018年版解説(11)>
テーマ:経営に貢献するISO22000:2018
TBCSグループの食品会社向け専門コンサルティング組織である株式会社フィールズコンサルティングの柏原吉晴が担当します。
さて今回は、7.1「資源」を解説します。
7.1は、7.1.1一般、7.1.2人々、7.1.3インフラストラクチャ、7.1.4作業環境、
7.1.5外部で開発された食品安全マネジメントシステムの要素、
7.1.6外部から提供されるプロセス、製品又はサービスの管理、
から構成されています。
組織にとって経営資源の管理は、健全な組織運営に欠かせない要素で、経営の課題に直結します。また2005年版に無い要求事項もあります。
要求事項は次の通りです。
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7.1.1 一般
組織は、FSMSの確立、実施、維持、更新及び継続的改善に必要な資源を明確にし、提供しなければならない。
組織は、次の事項を考慮しなければならない:
a) 既存の内部資源の実現能力及びあらゆる制約;
b) 外部資源の必要性。
7.1.2 人々
組織は、効果的なFSMS を運用及び維持するために必要な人々に力量(7.2参照)があることを確実にしなければならない。
FSMSの構築、実施、運用又は評価に外部の専門家の協力が必要な場合は、外部の専門家の力量、責任及び権限を定めた合意の記録又は契約を、文書化した情報として利用可能な状態に保持しておかなければならない。
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まず、7.1.1一般では、
FSMSを運用していく中で、現状の組織内資源(ヒト・モノ・カネ・情報)の実現能力や制約を見極め、必要な追加の資源を明確にすることが重要です。
内部で確保・実現できない場合は、外部資源(ヒト・モノ・カネ・情報)の必要性を明確にし、資源調達を検討することになります。
例えば、ヒトであれば、人材派遣の採用検討、
モノであれば、新規設備投資やリースの検討、
カネであれば、資金調達方法の選定、
情報であれば、市場調査、シンクタンクやコンサルへのアプローチなどです。
次に、7.1.2人々で、
経営資源の中でも最重要な「人財」について要求します。
先程の7.1.1一般の中の「ヒト」に該当します。
内部人材の力量で充分に実現できるFSMSであれば良いですが、不十分な時は外部専門家を採用します。
その際に、外部専門家と自社の役割分担(責任と権限)を明確にし、相互に合意しておくことが重要です。
現状の人材で充分かどうかを見極めるためには、各プロセスの適正人員(頭数と力量)を明確にしておかなければ、
見極めできません。
人財の資源管理とは、各プロセスの生産性向上に欠かせない要素だということが分かります。
次回は、残りの7.1.3「インフラストラクチャ」から解説します。