主任コンサルタント 柏原 吉晴
<ISO22000:2018年版解説(12)>
テーマ:経営に貢献するISO22000:2018
TBCSグループの食品会社向け専門コンサルティング組織である株式会社フィールズコンサルティングの柏原吉晴が担当します。
前回に引き続き、7.1「資源」の7.1.3「インフラストラクチャ」から解説します。
組織にとって経営資源の管理は、健全な組織運営に欠かせない要素で、経営の課題に直結します。また2005年版に無い要求事項もあります。
要求事項は次の通りです。
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7.1.3 インフラストラクチャ
組織は、FSMSの要求事項に適合するために必要とされるインフラストラクチャの明確化、確立及び維持のための資源を提供しなければならない。
注記 インフラストラクチャには、次のものが含まれ得る:
― 土地、輸送用設備、建物及び関連ユーティリティ;
― 設備、これにはハードウェア及びソフトウェアを含む;
― 輸送;
― 情報通信技術。
7.1.4 作業環境
組織は、FSMS の要求事項に適合するために必要な作業環境の確立、管理及び維持のための資源を明確にし、提供し、維持しなければならない。
注記 適切な環境は、次のような人的及び物理的要因の組合せであり得る;
a) 社会的要因(例えば、非差別的、平穏、非対立的);
b) 心理的要因(例えば、ストレス軽減、燃え尽き症候群防止、心のケア);
c) 物理的要因(例えば、気温、熱、湿度、光、気流、衛生、騒音)。
これらの要因は、提供する製品及びサービスによって大いに異なり得る。
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7.1.3「インフラストラクチャ」では、
土地、車両、建物、関連施設(電気、給排水、ガス・重油等熱源ほか)、生産設備、輸送システム、ICT(情報通信技術)など、インフラとして管理すべき項目を明確にすることが重要です。
これらインフラの維持管理がマネジメントできていない組織は、生産や物流が停止するリスクが高く、仮にそうなった場合には、組織にとって大きな売上機会損失であり、信用問題にもなります。
設備投資計画など、組織の事業戦略と絡むインフラ管理がFSMSで実施されていると理想的です。
7.1.4「作業環境」では、まずは、物理的要因に該当する労働安全の管理対象を明確にし、管理すると良いでしょう。これは2005年版と同様です。
2005年版には無い新しい要素が、社会的要因、心理的要因です。
社内における差別や対立の解消、ダイバーシティ推進、ハラスメント対策、ストレスチェックやメンタルヘルスケアなどへの取組み、管理が、働きやすい職場、働き続けたい職場つくりに欠かせません。
健康経営は、組織が取り組まなくてはならない重要なマネジメントです。
ISOを活用した経営課題に取り組んでみてはいかがでしょうか。
次回は、残りの7.1.5、7.1.6を解説します。